19 電気炊飯器考 リターンズ

あれから電気炊飯器の進化ってどうよ

 
えー、columnの「電気炊飯器考」を最初に書いたのが2002年だから、あれから約6年が経過しています。この間にどれだけ電気炊飯器が進化したか考察してみましょう。
 
というわけで、近くの某大型電気店に行ってみました。で、ざっと見ると最近の電気炊飯器におけるトレンドは「圧力釜」らしい。通常よりも圧力を掛けて炊くと「美味しく」炊きあがるというのが唱い文句なのです。
 
でも、これって基本コンセプトが6年前と変わってないじゃん。
 
最新鋭の製品には、釜内を真空にして米へ水が染み込みやすくしたり、炊きあがった後も真空状態にしてご飯の劣化を抑制するというあまり長続きしそうのない機能があったりしますが、目指しているのはヤッパリ「美味しく」なのです。
 
早くも話が飛びますが、これまでの間に「これ1台でご飯もおかずも」みたいな唱い文句で、ご飯以外の調理ができる炊飯器が出てきたことがあったのをあなたはご存知でしょうか。
 
「炊飯器で煮物ができます!」と聞いて即座に私が思ったのは、「炊飯器で肉じゃがを作るのはいいけど、じゃぁご飯はどうするの?」でした。
 
内釜が2つに分かれていて、同時にご飯と肉じゃができるのならすばらしいけど、そうではアリマセン。先にご飯を炊いておいて、後から肉じゃがを作るほど暇な人はいないでしょうし、肉じゃがを電気炊飯器で作りながら鍋や別の電気炊飯器でご飯を炊くようなことをする変わった人もいないでしょう。
 
多機能を狙ったつもりだったんでしょうが、おかずの為にご飯が炊けないというのでは完全に本末転倒です。案の定、このテのモノはヒットせず、今回ざっと見た限りではこの機能を唱った文句は目に付きませんでした。
 
話を戻しましょう。あれから6年も経っているんだから何かスゴイ商品があるのではと期待していました。
 
で、ありました。すんごい炊飯器が。
 
何がすごいって、その価格。とうとう定価が10万円もするヤツが誇らしげに置いてあるのです、ハイ。
 
これはもう、3分でご飯が炊きあがる機種に違いない!と思ったりしたケド、残念ながらそうではありません。じゃあ何でこんな金額になるかというと、内釜が「カーボン削り出し」だからだって。純度99.9%の炭素材料を職人が丹精をこめて削り出した手作りの内釜だそうな。
 
バイクのパーツで「アルミ削り出し」とかいうのがありますが、電気炊飯器もパーツの素材や加工技術を言及するようになったのでしょうか、、、。何か方向性がおかしくありません?
 
で、カーボン削り出しの内釜ですが、やはり「美味しく」炊けますが自慢なんだそうです、ハイ。きっと、フツーの炊飯器で炊いたモノと食べ比べると美味しいんだろうけど、そのフツーの炊飯器に備長炭を一本入れて炊いたのとどの程度違うんでしょうかねぇ。
 
この内釜、純度99.9%のカーボン製ということは、過って落としたり強い衝撃を与えると簡単に割れてしまうんじゃないかと思いますけどどうなんでしょう。また、洗う時あまりゴシゴシやるとカーボン、つまり炭の粉が出そう。
 
どうせなら同じカーボンでも「人工ダイヤモンド内釜」にしてもらえると、キラキラと輝くご飯が炊きあがるような気がしますが、技術的にもコスト的にも無理ですねぇ。
 
他には、銅をステンレスやアルミの層で何層にも挟み込んだ多層構造の内釜を搭載したり、陶器製内釜を採用した製品もあって、モノによってはくだんのカーボン削り出し釜モデルと同等価格だったりします。
 
以前、フツーの炊飯器のフツーの内釜交換に10英世も投資した経験から言わせてもらうと、こんな内釜を交換するコトになったら、フツーの炊飯器を丸ごと買ってもおつりがでる金額を支払うハメになるのは間違いありません!
 
さて、新しい炊飯器を買おうとしている人は「美味しく」炊けるモノを本当に欲しがっているのでしょうか。
 
そりゃ美味しく炊けることに越したことはありませんが、美味しく炊ける炊飯器を買うより、美味しい米を買った方がその効果はあるように思うんですけど、、、。また、つやつやの炊きあがりを望むなら、プロの料理人がやっているように米油を入れて炊くだけで十分だとワタシは思うんです。
 
家庭電化製品の基本は「便利」とか「快適」にあるとワタシは思っています。だから、より「美味しく」よりも、より「便利」とか、より「快適」な路線で進化して欲しいと思うのデス。
 
話がまた逸れますが、「電気炊飯器考」を最初に書いた時、洗濯機はドラム式乾燥機能付きタイプが出だしの頃でした。現在はどうでしょう。そのドラム式が売れ筋の主流になっていて、水洗いできない物もイオンで除菌洗浄ができる製品まで登場しています。
 
昭和の中期、テレビ、冷蔵庫と並んで「三種の神器」と言われた洗濯機は、初期には手動脱水用のゴムローラーが付く程度の進化でしたが、やがて脱水槽を有する「2槽式」が、そして、洗濯から脱水まで手間無しで処理してくれる「全自動」タイプが登場、さらには乾燥までをこなす「ドラム式」が普及しつつあります。3回ものブレイクスルーによって、その都度飛躍的により「便利に」進化しているのです。
 
話を電気炊飯器に戻しましょう。電気炊飯器においてのブレイクスルーは、炊きあがった後そのまま保温ができるようになったことくらいではないでしょうか。まだまだ大きく進化できる可能性は秘めてると思うんです。ちなみに、保温機能付きのものですが、正確には「ジャー炊飯器」と呼ぶらしいです。
 
ご飯を炊く時、水の量を過って芯飯になったり柔らかすぎる炊きあがりになる事故が時々ありませんか?内蓋に水位センサーを付けて、「水の量が足りませんぜ」って教えてくれる機能を付けるくらいできそうな気がするんですけど、、、。あ、もし既に製品化されていたらごめんなさい。
 
電気炊飯器も洗濯機と同じような路線で進化してくれたらなぁ。
 
 

(2008.7.13作成)