3 痛い話

これはショチしないと、、、
!ご注意 一部シゲキの強い内容があります。

 
それは某年の1月某日、畑に植わっているスモモの木を剪定している時でした。数年前から全く手をつけていなかったスモモの木たちは延び放題。太い枝を数多く切り落とす必要があったので、知り合いに頼んでよーく切れる剪定鋸を購入。大きい木を5本程終え、品種の違う小さい木に作業を移って2本目。本当は剪定鋏を使ってやるところ、家まで取りに帰るのが面倒だったので、(といっても畑から家まで歩いて30秒の距離)そのまま鋸を使って細い枝を切り落としていました。
 
ところが、手元をを狂わせて左手親指爪先の真ん中を爪先方向から挽いてしまったのです。もちろん、軍手を着用してましたが、なんせよーく切れる鋸のため、あっさりと軍手を貫通、爪もろとも親指の先をプッツリ裂いてしまったのです。
 
やった瞬間、「コレはヤバイ」と直感しましたが、とりあえず家に帰ってマキロンをシューパしてカットバンを捲いて痛みが治まるのをじっと待つことにしました。剪定作業がそれっきりになったのはゆーまでもありません。
 
マキロンには麻酔効果があるので、しばらくするとある程度痛みが落ち着いてきましたが、母親やヨメさんに病院へ行くよう強く言われ、とある医院へ行ったのです。
 
医院に着いた時には痛みが和らいだこともあって、「いやー、スモモの木を剪定していたら、指を剪定しちゃいましたあ。」と軽い気持ちで捲いていたカットバンをはがして先生に見せたところ、「うーん、これは・・・処置をしないと。」と真剣な顔。
 
「ショチ?」と思った時には、「あっちへ行って。」と診察台の方を指さされていました。この時点で医者に診せたことを後悔してももう手遅れ。今更「どーってことありませんから、ハハハ。」と逃げて帰るわけにもいかず、言われるまま診察台に横になると、看護婦さんがワタシの左手の下に折り畳んだ新聞紙を敷いているではありませんか。突如、頭の中には血まみれになった新聞紙の上でひくついている左手の凄惨なイメージが鮮明に浮かびます。
 
「これは麻酔をしないと、そのままでは、とても痛くて処置できないからねぇ。」と先生。ワタシの爪先は、鋸が入って爪が半分浮いた状態なので、ばい菌が入らないよう、その一部を取り除かないといけなかったのです。
 
正に「生爪を剥ぐ」のが先生の言う「処置」なのです。「そりゃそーだ。麻酔なしでやられてはたまりません。」と納得と安堵の気持ちが少しだけ浮かんだところで先生の「でも、これー(麻酔の注射のこと)は、結構というか、かなり痛いですよ。」のお言葉。
 
すると、看護婦さんがワタシの両膝を体重をかけて押さえるのです。「オ、オイ、そんなに痛いのか?」戸惑っている内に「いきますよ。ちょっと我慢してくださいね。」の言葉に続いて親指をペンチで思いっきり挟まれたような激痛があー思わず、「あ"ー」だか「お"ー」だかわからない悲鳴をあげて診察台横の衝立をドンドンと叩いていました。
 
だって、指先に注射器の針を刺すんだもん。麻酔が効いたのを見計らって、先生がおもむろに爪をパチパチと剥いでいる様子が伝わってくるのが今でも脳裏に焼き付いています。おーやだやだ。
 
 

(2002.10作成 2007.08加筆校正)